アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル」を観る。

新文芸坐にて。面白かった。あえて前情報をあまり仕入れずに観に行って成功した。トーニャ・ハーディングという90年代に活躍したアイススケート選手とその周囲の人間が起こした一大スキャンダルとそれが起こるまでのいきさつを描いたもの。構成は、同じくアスリートのスキャンダルを描いた「フォックスキャッチャー」に近い。けど、本作は「フォックスキャッチャー」と比べると事件自体がかなり間抜けでお粗末なのでずっとコメディタッチで楽しめるのが良い。主演はマーゴット・ロビーという人で、激しい気性のトーニャという人をかなりうまく演じていたと思う。最後のオリンピックの控室前での笑顔と涙のシーンは鬼気迫るものがあった。後、90年前後のチョイダサ懐かしい音楽やファッションも見もの。
暴力や虐待の連鎖というか、典型的なアメリカのホワイトトラッシュ感ある描写が痛々しくて、スポーツって本当に基本お金持ちのやることなんだよなぁなんて納得した。まぁ、サッカーとかは単純なルールでかつ道具も少ないからいいけど、本作のトーニャなんてウエイトレスの母子家庭で教育もないまま、道具にお金のかかるスケートなんて競技を選んだのはミスマッチという感が凄い。それでも持ち前の身体能力や根性で彼女は一時成功してオリンピックにも出場するまでに成長するけど、後に転向するボクシングとか格闘技の分野の方が彼女自身の適正はあったんじゃないか、と思ったり。最近転職活動中なので、自分のキャリア戦略をよく考えてるからというのもあるけど。
スケートが出来なくなってからの太り方とかも完全に自堕落な燃え尽き系アスリートという感じで哀しい納得感がある。本作で再び自分にスポットが当たって嬉しいなんてコメントもしてるみたいだし、頭悪そう感が凄い。何というか、近くにいても友達にはなりたくない…。