「デジタル・ナルシス」を読む。

少し難しいけど、情報科学だけでなく文学から哲学まで横断する著者の博学と文章の巧さに驚いた。91年出版とのことでインターネット前夜で、日進月歩の情報科学としては古びちゃってるんじゃないかと思ったけど全然そんなこともない。ノイマンチューリングバベッジ、シャノン、ベイトソン、ウィーナーという巨人たちの仕事の位置づけや人間的な側面など多面的に分析し、単純な批判でも称賛でもない独自の評価をした本。
著者は大学卒業後に研究生活に入らず、日立製作所にエンジニアとして入社して働いていたとのことだけど、生活がある中でよくこんな博学を身につけられたなぁと感心する。あと、具体的な数式とかは出てこないんだけど、もうしこし数学に詳しければ彼らの仕事の凄さがイメージしやすいかなと思ってそれはちょっと自分の力不足だった。確率論とか集合論とか量子力学とか今一ピンと来てないんだよね…。