未来世紀ブラジル」を観る。

いやー面白かった。テリー・ギリアム監督の最高傑作と名高い本作、実は大学時代位からずっと「観てみたい映画」としてカウントされてたんだけど、10年越し位に観てみた。情報統制された近未来が舞台となって、小心者で空想家の役人が夢で逢い続ける女性に現実で出会ったことから恋に落ち、彼女を守るために反社会的な行動を取るんだけど…という話。基本過剰でグロいギャグが散りばめられており、全体としてノリが軽いのが特徴。ビジュアル的にもとても凝っており、スーパーカミオカンデみていな手術場とか、「マッドマックス」に出てきそうなヒロインの乗るゴテゴテした武装車とか、「こち亀」に出てきた生活の全てが自動化された家(目覚ましで起きると自動で料理が作られ、シャワーが出て服を着せてくれる、みたいなやつ)とか眺めてるだけでも面白い。整形大好きなババアとか笑った。とはいえ、実は、ラスト辺りの怒涛の展開からは「うーん、こんな勢いに任せて全て解決しちゃうような筋書きだと駄作になっちゃいそうだな…」なんて思ってたんだけど、結末が衝撃的。これで180度ひっくり返って傑作認定した。
結局、正義の味方なんて存在せず、管理社会をぶっ壊すようなヒーローなんて存在せず、粛々と管理から外れた人間を削除して統制し続けるという社会が非常にリアルで楽しめた。謎のテロリストと思われたタトルという重要キャラも、別に救世主でも何でもないというね。