「システムインテグレーション再生の戦略 ~いまSIerは何を考え、どう行動すればいいのか?」を読む。

「人月を前提として収益構造はもはや限界。そんな時代に生き抜くための3つの戦略と9つのシナリオを解説。」という紹介文通りの本。どんづまりになったSIer色んな図やデータを基に客観的な分析をしており、さらに感情的にならず冷静に課題と解決方法を模索しており、似たようなテーマを挙げているが前に読んだ木村岳史氏の本より大分良質。しかも、図はフリーでダウンロード出来るという気前の良さで、この図をプレゼンや説明に使ってSIerを変えてくれ、という気概を感じる。SIerの中にいる人間としても非常に納得のいく内容だったし、本書で言われるような課題をせめて個人的には克服してSIerを抜けだせる力をつけようと思った。

付加価値率=売上-外部調達コスト
外部調達は自社でのコントロールが難しく、市場の影響に大きく左右されるが、自社のコストはコントロール出来るので、業界ごとに戦略が変わってくる、という話。

システム開発の購買決定要因
Quality … システムの品質が高いこと
Cost … 競合と比べて費用が安いこと
Delivery … システムを安定的に導入出来ること
クラウドの導入によって、優先度がD>C≧Qになりつつある。

装置産業」から「サービス産業」への転換
開発や構築、運用管理が、自動化されたサービスに置き換えられようとしている。

「センサーやカメラが組み込まれた冷蔵庫がネットにつながり、入ってるものを人口知能が常時把握できる仕組みが実現すれば、冷蔵庫という「モノ」は無料で提供され、食品の自動配達や食材・レシピの提供という「サービス」で儲けるビジネスが登場するかもしれません。」

「インフラビジネスは上流の仕事のニーズがますます重要に」圧倒的な資金力と技術力を持つ大手クラウド事業者と真っ向勝負することは現実的でないので、どう使いこなすかが重要になる。

アジャイル開発の本質は、「全部作らない」ことを理解し、それを受け入れること。それが、ウォーターフォール開発と本質的に異なる点。」

「開発スピードと本番適用を同期化させるDevOps」