「バーバーショップ」を観る。

バーバーショップ [DVD]

バーバーショップ [DVD]

これはちょっと前にtsutayaで借りた映画十数本の中で一番面白かった。すごくエンターテイメント性が高く、登場人物それぞれに適切な分量の見せ場があり、冒頭で起きた銀行強盗と、とある傾きかけた床屋のすったもんだのストーリーが並行して進む中、クライマックスでそれが融合し、きちんと問題解決して大団円、めでたしめでたしという隙のない作り。時間軸も一日の始まりから終わりまでを通して描いており、すごくわかりやすく良質な映画だと思う。
出てくる俳優はアイスキューブ始めほとんどがブラック・アメリカンで日本版ではwikipediaのページすらないけど、色んな人が見て楽しめると思う。ただ、やはりというかアメリカのブラックカルチャーに詳しい人の方が、劇中で交わされる軽口のような会話が楽しめるんじゃないかと思う。床屋の店員も個性万別で、「女はケツだ。でもただデカけりゃいいってもんじゃないんだ」みたいなことを力説する若者とか、先代の店長の頃から勤める昔の公民権運動の闘士について語るおっちゃんとか、ヒップホップカルチャーに入れ込む白人の若者だったり(イカした黒人の彼女もいる)、口の達者な大学出のインテリ若者だったり、浮気者のイケメン彼氏とアフリカから来た純朴なオデブちゃんの求愛に揺れるイマドキっぽい女の子がいたり、昔ワルをやってて構成したちょっとイケメンの若者がいたりと、それぞれの掛け合いが楽しい。それをまとめ上げる父親役みたいなアイスキューブも、店や、ひいては黒人たちの社交場を守りたいけど経営が立ちいかなくて、チンピラに床屋を売却してスタジオをやろうかなんて揺れてたりする。最終的にはチンピラと決別し、自分たちの職場と従業員を守ることを選択するというきっちりしたラストに終わるので、観た後もとても気持ちよい。銀行強盗をやらかした二人の若者もコントみたいにアホらしい掛け合いが素敵で、自宅に何とか持ってきたATMを幼い妹に見られて「お金くれたらママには黙っててあげる」とか脅されたり、重いATMを足に落として泣いてたりと随所に笑いが散りばめられており、飽きさせない。ちょっと下品な表現はあるけど、ホームアローンばりに家族で見て楽しめると思う。