「127時間」を観る。

面白かった。ダニー・ボイル監督作。ロッククライミング中に岩と壁に腕を挟まれてしまった男が脱出するまでを描いた作品。実話を元にしており、モデルの男性については知らずに観た方が楽しめると思う。グロ注意。
ダニー・ボイル節というか、PVみたいなとてもスタイリッシュな映像がまずは楽しい。画面が縦に3分割されて各カメラから同時に主人公が自転車で駆け抜ける様を描いて見せたり、ストロー付の水筒から水を飲む時でさえ、水視点(?)とでもいうような、容器からストローを伝って主人公の口に入るような映像があったり、演出のギミックには事欠かず、こんな見せ方あるんだと目から鱗。「CUBE」的な密室モノに近いというか、撮影空間も非常に限られ、かつほぼ登場人物が一人という特殊な状況で、刻々と変わりゆく状況をドキュメンタリーちっくに追って見せる。全く飽きることはないし、127時間かけてずっと憔悴していく主人公に寄り添ううちに、こうしたら助かるんじゃないか、こうしたらどうだろうかと自然と脳内実験してしまうような感情移入性も高い。
最終シーンは、グロ耐性は割とあると思う自分でも結構きつかった。ある意味建設的で合理的な思考に則って最後の選択を選ぶ主人公の、というよりモデルとなった男性の強さに戦慄した。しかももっとびっくりなのが、生還したモデルの男性に友人は「お前ならやりそう」と言われたらしいということだ。いや、あっぱれ。「one piece」に出てくるオーナー・ゼフじゃないんだから…。