「遠い町から来た話」を読む。

うーん、「アライバル」と比べると全然ぐっと来なかった。どこか異界のような話を集めた短編集となっており、散漫な印象が強い。一つ一つの話は、何となく現実の社会を寓話的に扱った感じのものが多く、例えば表紙の宇宙飛行士は、オーストラリアの白人コミュニティに紛れ込んだ日系の移民、という風に読み取れるし、ある日急に政府の指導の下で各家庭に一台のミサイルを置くようになった国の話は、近い未来に起こり得そうなブラックジョークのようにも受け取れる。ただ、「アライバル」と違って文字情報も多く、「アライバル」ほど研ぎ澄まされた世界観を感じない。要するに、物語にちょっと没入できなかった。