ツタヤディスカスで借りた映画を立て続けに見る。

ファッションのソースとして良く引かれることの多い本作。
確かにそんくらいしか見どころねーなぁ。青年が現実を突きつけられて大人になっていくっていうストーリーも尾崎豊っぽく言えば盗んだバイクで走り出したはいいけど、一緒に走りだしたはずの仲間とも孤立しちゃってしょうがないから家帰るか、ってくらいのもんだし。
っていうか主人公が全然魅力的に見えないのが最大の弱点。これをジェームズ・ディーンとかがそれっぽい雰囲気で演じてくれると大分様になりそうなんだけど、この主人公痩せすぎでチビでお世辞にもイケメンと言えない面なのだ。どちらかといえば喪映画として素晴らしい「バス男」に出演したほうがしっくりくるルックスなのに、なぜ主役を任せられたのかよくわからん。主人公と一緒にいる(ガールフレンドを寝とられる)ハットかぶった友達の方が遥かに絵になる。
全体のファッションについても、この友達に関しては今同じ格好しても割とかっこいいと思えるトラッドな着こなしだが、ミラーつけまくったスクーターとか見てかっこいいとはとても思えん。日本の暴走族と同じような意味のないゴテゴテ感がイメージ的にかぶる。モッズコートって特攻服みたいなもんかい、とがっかり。

これはあんま期待せずに見た割にすっごい面白かった。
非常に気分の悪い映像が続くけど、ギリギリで面白く出来てる。バランス感がすごい。永作ちゃんがめっちゃ可哀そうだけど、やっぱりそう思わせる技術的なうまさがある。サトエリも凄いうまい。こんなに見てて腹立ったの久々だし、飽きずに見られた。「お姉ちゃんは最高に面白いよ」っていう罵倒の仕方もバッチリ決まってて、物語の綴じ方も良いと思う。ただ、「家族」という(重いような、軽いような微妙な)繋がりを求め続けて独りぼっちになってしまった永作ちゃんが痛々しいラストだけど。
どのキャラも文字通り「腑抜け」で醜悪な関係性でつながってるのに対して、相対的に映像が不気味なくらいのどかで気持ち良い。「リリイ・シュシュ」的な田園風景とは絵の使い方が違うけど(光の使い方とかが特に)、似たようなロケーションなのかもしれない。とにかく、物語から表現技法に至るまでとても良くて充実した2時間を楽しめた。

こちらもファッションと音楽的な興味で借りた一本。スカーフェイス的な成り上がりのギャング映画ではなく、一角の成功をおさめた売人がカタギになろうとする話だけど、ファッション的にも音楽的にも「さらば青春の光」より全然面白かったなぁ。カーティスメイフィールドの曲がしつこいくらいリピートされて、ヤクザっぽいコートにハット被った売人がキャデラック乗ってるだけでかなり絵になる。
途中のバスタブでのエロシーンはすごく好き。スローセックスってんじゃないけど、濡れた体でゆっくりした絡みを舐めるように追っていくカメラが秀逸。ただ、ちょっと気になったのは主人公には何人か女がいるみたいだけど、彼女(たち)を連れてカタギになろうというのだろうか。かつての相棒と商売敵をやり過ごした段階で物語が終わってしまっているので気になるところだ。