アメリカ、家族のいる風景を見る。

アメリカ、家族のいる風景 [DVD]

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ヴィム・ベンダース作品だが、予想よりポップな作風で拍子抜けした。
何か設定とか物語を駆動するキャラ達の行動に説得力がなくてフワフワした作品といった印象。「パリ、テキサス」のような「どうにもできない人生の疎外感」みたいなのを特に深刻に受け止めず、受け流すというか解決していこうとする糸口もよく分からんまま終わる。
まず、主人公の西部劇の忘れ去られた落ち目の老人、モテすぎだろ。
酒癖が悪く女癖が悪くヤク中で仕事もすっぽかして現場から逃げ出すような老人に全く魅力を感じないんだが。何で美女がわんさか寄ってくるんだ。
別れた女を探し出してやり直そうと持ちかけるんだけど、なぜ自分が非難されてるのか理解する頭も持ち合わせていないように思われる。そのあと自分の人生を反省するような描写がみられないからだ。
次に、サラ・ポーリー役の女の子、必要あるか?この子のキャラが立たなくてストーリーに余計なふくらみができてると思う。そもそも生き別れの父娘がばったり喫茶店で出会うってどんな奇跡だよ。リアリティゼロだよ。
リアリティゼロと言えば、30年前に自分が捨てた女にこれまた酒場でばったりあってついでに息子にもばったり会うってどんな偶然だよ。

挙げていくとキリがないが、この作品は駄作だと思う。起こりえないであろう事象でストーリーがガンガン展開していくんであれば、物語の質がガンガン落ちていくんだなと実感できた作品。