コクーン」を観る。

結構なB級臭がするんだけど、ネットのレビューとか見る限りそういう扱いを受けてないっぽいのが意外。美男美女が全く出てこない、爺さん婆さんの水着姿や大人げないラブコメや喧嘩をこれでもかというくらい楽しみながら、かつて失った同胞のコクーン(繭)をなぜかプールで培養させて復活させようとする変な宇宙人の交流を描いた素敵な映画。

まず、85年作という本作を観ることでいかに現在のCGの技術が発達したかをまざまざと知ることができる。フィルムの上に直接ペイントしたような安っちい立体感も重量感も何もないエイリアンたちの姿は完全にギャグのレベルだ。設定もよくわからなくて、なぜかエイリアンは現代のアメリカ人的な文化や経済力を持っていて、「われわれは地球人の君たちよりも高い科学レベルにある」的なことを言いながらどこまでも地球人のレベルに合わせて接してくれるナイスな人たちだ。最終的にジジババを友人として私たちの星に連れて行こうという意図もさっぱりわからんし、コクーンの力で若返ったジジババが永遠の命を求めて家族を残してそのまま地球を旅立つ心境もわからん。
そして、異星人間の恋愛を描くくだりもあるんだが、完全に尻切れトンボで期待外れ。プールの中で交尾するような場面でも、宇宙人マナーでの交尾であり、地球人のオスにとっては交尾になりえていない(射精するという重要な過程がない)。そもそも、性別や男女っていう概念が所与のものとして描かれてるような創造性のなさがSF的に全く面白くない。
まあ、クソ映画だな。見どころはジャンプ台を使ってプールに飛び込む爺さんのスローモーションのカット。マジで誰得だよ、という。