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「アリス・クリードの失踪」を見る。

アリス・クリードの失踪 [DVD]

これは実にタイトで面白い。クライムサスペンスムービーとでも括られるのだろうか。富豪の女性を誘拐する2人の男とその被害者の３人の密室的な人間関係の２転３転を楽しむ。

レビューサイトとかで指摘されているみたいだが、人間関係の強弱が切り替わる際の若干ご都合主義的な展開はなくはない。でも、全編通じて効果的なBGMや派手な演出を廃し、緊張感あふれる非常にリアルな映像を作り出している。特に冒頭のシーンはすごく良い。淡々と誘拐するための道具や環境作りするシーンを、どこにでもいそうな冴えない男二人が演じるシーンは美しい。これが逆に、ディカプリオとか華のある人間が演じると上滑りしそうなんだが、彼らの不穏な表情がとても印象的。そして誘拐してからも、先の読みづらい転がり落ちるストーリーに文字通り目が離せなくなる。先が見えないから続きが見たくなるし、夢中になる。
夢中にさせてくれるエンターテイメントなんてそうはない。本作のタイトさはそれに当たる。ついでに、タイトルがまたニクい。最後まで見ると意味がわかる面白いタイトル。