なんでか分からんけど、鍼の動画を見るのが好きだ。
一ヶ月に30分から1時間は鍼の動画を見る時間に費やしていると思う。
いつ頃からこの習慣が始まったか覚えてないけど、多分仕事を初めてからだと思う。基本的に疲れて、何も考えたくない時に見ていることが多い。
ちなみに、鍼を実際にやってみたことはない。興味はあるんだけど。
では、何に惹かれて鍼動画を見ているのだろうか。

この動画とかはもう俺の中でクラシックである。トータル30回は見てるんじゃないだろうか。定期的にyou tubeでこんな感じの鍼動画を探しており、自分的にぐっとくるものを取っておいてる。
鍼動画もたくさんあるが、ワックだと感じるものも多い。その多くは、「美容鍼」なるエステの延長のような、リラクゼーション音楽みたいなBGMの中女性が顔に鍼を打たれている動画である。
もちろん俺は鍼経験がないので、効果の程はわからない。でも、専門知識のない俺でも、鍼に対してはもっと崇高な印象がある。基本的には東洋医学の体系化された技法だろうし、太極拳などと同じく人間の「気」なるものを操って体の調子を良くしようとする技術であると認識している。経絡秘孔だのツボだのの位置を把握し、気の流れを制御する人が鍼灸師だと思っている。
だから、いくら専門家が特殊技能を身につけていたとしても、美容のためなんて局所的な使い方ができると思えない。
エステの延長として、要は需要に基づいてそれらしく「神秘的な」印象を売りにしてセルアウトしている施術者のように思える。

それに比べて上記の動画の先生は素晴らしい。この動画の素晴らしさは、上記のようなワックさを感じさせない先生の技術力の高さを演出できている点にある。繰り返すが、経験はないので効果のほどはわからんのだが、彼の手つきの熟練具合が好きなのである。自分が全く修めていない技術の片鱗を見せられるのが好きなのだ。そういうことに気づいてから、いくつか「何となく好き」だったものがつながってきた。俺は、刺青を入れている動画とか、シェービングをしている動画も好きなのである。

この動画も見ているとホントに気持ちよく、落ち着く。俺はシェービング自体ほとんど経験がないが、麻薬的な気持ちよさを誇る動画だ。上記の通り、職人的な手つき(撮られてることもあるし、多少仰々しく見せてるのかもしれないが)がワクワクさせる。刺青動画に関しては直接「いい部分」が貼れないのだが、映画「蛇とピアス」での動画が素晴らしいのだ。

正直映画自体はどうでもいいのである。吉高由里子ARATAの手で舌にピアスを入れられるシーンと、麒麟を背中に彫りつけられるシーンだけが美味しいのである。細部にこそ美が宿る、とか誰かが言っていた気がするが、正しくそれでそこだけリピートして何回も見ている。ここにも、ARATAの特殊技能を身につけた官能的な手つきが楽しめる。あと、吉高由里子の美しい肢体も楽しめるが、ここでは置いておく。

結局のところ、彼らの手つきが好きなのだ。書いてて気づいたのだが、漫画でも手術シーンや料理シーンが好きだ。それも、ウンチクたっぷりに語るのではなく、ただ淡々と常人に出来ない洗練された技術を感じるシーンが良い。泣かせるストーリーや医療問題提起とかでなく、とびきり天才的な医者による手術シーンありきの医療漫画とか誰か書いてくれないかなぁ。
「バキ」がストーリーありきでなく、主人公であるバキですら「闘い」という「描写」に従属している漫画としてあれだけ成功してるんだから、アリだと思うんだけどな。あと、所作が美しいと感じた漫画は「エマ」だね。19世イギリスの風俗が嫌味なく描かれていて、キュンキュンきたものだ。

今後も、こういうグッとくる「描写」ディグは続く。