「街のあかり」を観る。

街のあかり [DVD]

街のあかり [DVD]

久々カウリスマキ作品。のっぺりとした起伏の小さい物語は相変わらずという印象。仕事も恋も何をやってもうまくいかない冴えない男が、美人局にあって仕事を失い、家も失い、街の人の信頼も(もともとあんまなかっただろうけど)失い、自由を失って刑務所に入れられ破滅の一途を辿るも、それでもなお折れない精神をドラマチックでもなんでもなく、淡々と描く。
ブログ「空中キャンプ」でも取り上げられてたけど、登場人物たちの異様なほど躍動感のない身体が特徴的で、ほとんどコメディの域に達している。個人的には、主人公を騙す女と一緒に映画を観に行って(この映画も派手なアクションものっぽく、カップル向きじゃなさそうでダメっぷりが面白い)、映画を全く見ず隣の女を見てるシーンとかすごく面白かった。女に会うために家の中でもジャケットを着る件とかも情けなくて、切ない気分になる。
ただ、やっぱり男の不屈の精神がどこから来るのか結局よくわからんのだよね。男を支える屋台を経営してる(?)女は、男がデートに行ったんだ、なんてアホな報告した時にイラっとして店を閉めちゃったりして、序盤から男への愛着は見て取れるんだけど、男の側では特に女に愛着持ってる感じがないんだよね。よく行く店の顔なじみ、くらいの感じで。筋の通った物語じゃなくてもいいけど、ちょっと彼のモチベーションの源がどこから来るのかわからなかった。みんなを見返してやりたいっていう虚栄心なのかしら。