「ブラック・ダラー」を読んだ。

ブラック・ダラー

ブラック・ダラー

読んでみたけど、こんな歯ごたえないサスペンスは初かも。というのは、俺に本書を読む前提知識が足りなすぎることが原因。恐らくストーリー自体は、ゲーム理論的に様々な思惑を持つプレイヤーがその状況において信頼できる情報を元に最善と思われる行動をとり、それをあますことなくきっちり合理的に描かれているんだと思うけど、どのキャラクターが何を知っているのかが掴みづらく(まぁサスペンス要素もあるんだから当たり前だけど)、最終的に何がしたいのか、その目的もわかりづらい。よって、俺なんかでは全く歯が立たなかった。キャラごとに地図と時間軸を持った表を用意して、どこで何をしていたかを正確にメモっていればもう少し理解しやすかったかもしれないが、結構難しい。何しろ、金融知識、ブラックマーケットに関する知識、ガーナに関する政治知識、ドラッグに関する知識、医療知識、ネットワークに関する知識など、色んな知識を総合的に必要とするのだ。主人公からして、何がしたいのかが最後までよくわからなかった。亡き父がかつて研究していた地、ガーナでの研修医生活を決めた主人公が、ガーナについたその日に重傷を負った怪しげな現地の日本人を突発で治療したことが発端となって物語が始まる。現地の日本大使館の人間もODAに絡んだ金を巡って怪しい動きをしており、かつて父と研究を共にしていた師も何かを知っているが隠しているようだ。盛り場には怪しい情報屋やコンサルティングと称して要人相手にドラッグや女を手配する怪しいアメリカ人がいたり、高級ホテルに休んでるなかで日系の美しい現地の女性に声をかけられて知り合ったりと、それぞれが何を目的に動いているのかわからない中で、主人公はなぜか自分の助けた怪しい日本人の怪しい行動についていき、ただの医者ではなくなっていく。んだが、その辺の動機がよくわからんのだよね。金?興味本位?父の真意を知るため?好きな女性と一緒にいるため?どれも当てはまるのかもしれんし、違うかもしれない。
とりあえず、ちょっとブラックマーケットに関する知識を仕入れておきたいなぁ。本書を通じて知ったんだけど、世界全体のGDPの内、マネーロンダリングされてる金が5%もあるんだと。