■
「世界を動かす技術思考」を読む。
世界を動かす技術思考 要素からシステムへ (ブルーバックス)
- 作者: 木村英紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/05/21
- メディア: 新書
- この商品を含むブログ (2件) を見る
期待外れ。著者についても全く知らなかったし、元々読む気は全くなかったんだけど、図書館の「本日返却された本」コーナーにたまたまあり、ぱらぱらっとめくってたらマルクスとかエジソンとかの名前と共に半導体とか社会システム論とかも目に入ったので、面白いかもと思って借りてみた。つまらなくはないけど、期待外れ。
いくつかの論者が技術思考≒システムについて考察を行っており、それを著者が編んだものになってる。のだけれど、この人なんか日本の技術屋にルサンチマンがあるらしく、「日本は個々の要素の技術は世界のトップシェアを取れる位高い分野があるのに、システム思考がなってないから(その技術がどの分野のどの業務で使われるか、といった体型的なシステム)世界に遅れをとっている!けしからん!我々(著者はシステム科学ユニットみたいな団体のお偉いさんっぽい)の言うことを聞いて前近代的な「ものづくり」の精神など捨てるのだ!」みたいな論調で来るのがちょっとうざい。いや、おっしゃる通りなのかも知れんけど、別に俺は日本の叱咤激励を聞きに来たわけじゃないというか、そうならそうで「なぜ日本はそういう思考が育たないのか」に焦点を当てて論じてもいいと思うし(俺はそんな日本びいきの本読まないけど)、もっと日本の技術を世界の一部として客観的に記述してもらった方が楽しめたと思う。
個人的には、システム=IT化ではないという提言とかはすごく共感できたし、システム思考がうまく機能したことで大成功したIBMの改革やオランダの堤防工事などのプロジェクトの紹介とかも多くて楽しく読めるのだが、前述した「怒りオヤジ」みたいな論調が気になってしまった。