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「最強のふたり」を観る。

最強のふたり (字幕版)

前評判通り楽しめた。冒頭のカーチェイスシーンから、なぜそうなったのかを描くべく過去へスライドしていく構成の仕方も良い。スラム街に生きる失業手当目当ての若者と、金持ちだけど事故で首から下の自由がきかない壮年の男の奇妙な友情を描いた作品。実話を元にしており、ラストシーンではモデルとなった実際の二人がちょっと登場する。
デコボコな男二人の友情を描いたという点で本作と構造の似た映画として、「最高の人生の見つけ方」や「画家と庭師とカンパーニュ」などがあると思う。個人的には、本来階級の低いものが高いものに影響を与えるという構造だけ描いた作品は物足りないと思っていて、きちんと本来の階級の高いものから低いものへと影響も描いてこそ互角の交流が出来たものとして楽しめると思うのだが、本作はその点のバランスが良かった。金持ちのおっさんは素行の悪い若者からマリファナや風俗やアース・ウインド・ファイアを吸収するが、逆方向にはダリの絵画などの教養や真面目に働くことの尊さを吸収するという。
それらの二人のやりとりはとても自然で、お互いに楽しんでいる感じが存分に画面から伝わってくるのが観ていて気持ち良かった。また、異文化に飛び込んだ若者が委縮せず、自分の価値観で周囲を引っ掻き回すのが(ちょっとヒヤヒヤする場面もあるが)面白かった。