「ビールを極める」を読む。

ビールを極める (双葉新書)

ビールを極める (双葉新書)

ただ酔うためだけじゃなく、酒を飲むこと自体を好きになりたくて読んだ感じはある。自分にとっては身近なアルコールはやはりビールだし、「うまい!」と思うことも多いので読んでみた。感想としては、単純にビールに対する知識をつけるには悪くないけど、本としてはつまらなかった。著者はサントリーに長年勤め、「プレミアムモルツ」や日本初の発泡酒「ホップス」を開発した人物であり、ビール酵母の専門家でもある。
ビールってそもそもどういう飲み物?というモヤモヤしていた疑問には明快に回答があり、そういう期待を持っている読者なら少なくともためになるんじゃないかと思う。ピルスナーとエールって何が違うん?とか、ビールと発泡酒第三のビールって何が違うん?とか、生ビールの「生」って何やねん?とか聞かれても、すんなり回答できるようにはなった気がする。原料についても、麦芽とホップとコーンスターチとかいまいち区別がついてなかったけど、その辺も若干整理することが出来た。あと、健康とビールの関係についても学べたのは大きい。なんだかんだ言って、ビールはプリン体の塊というかカロリーの塊みたいなイメージも強くて、居酒屋では敬遠しがちだった最近だけど、単純に栄養素としてみたら、ご飯一杯我慢すればビールの2杯くらいはいいんじゃない?と思えるような認識に変わった。要するにビールって別に栄養学的に悪い飲み物じゃないということが分かったというか。ビールは凍らせちゃダメ、とか、泡の重要性とか、カロリーが高くても、実際にはアルコールの持つカロリーは体内で瞬時に燃焼してしまうので肥満の原因になりにくいとかね。(反論する医学的な見解もありそうだけど、とりあえず目をつぶっておきたい)
ただ、著者の人間性には大分不信感が否めない。随所に差別的な意識が垣間見れるし(例えば中国人のビールに対する感覚を卑下したり)、日本のビール市場に対する見解など、一研究者とは思えないほど印象論に基づいた歪んだ描写も多い。その辺を差し引いて楽しめれば、まあまあ良い本かもしれない。