RIZE」を観る。

RIZE [DVD]

RIZE [DVD]

L.A.のサウスセントラルを舞台にしたドキュメンタリー映画。貧困や暴力の只中で生きる人々が、ストレスをダンスによって昇華する生活を描く。主人公的な視点で登場するのが、元薬の売人でピエロの格好をしながら地域のダンスイベントを主催する男で、彼に触発されてダンスを始めた若いチームとピエロの率いるチームのダンスバトルがメインの見せ所となる。ワッツタワーとかL.A.の景色が見られたのも面白かった。
バネのように伸縮自在な躍動感のある身体を観るだけでも価値があるように思う。脂肪が全く乗らない、筋張った筋肉の動きこそが主役といってもいいくらいだ。もちろん太ったダンサーや可愛らしい子供のダンサーも出てくるのだが、動きは皆異様に激しく、人間の体ってこんな動きが出来るんだなという感動がある。途中、アフリカのどこかの部族のものと思わしきダンスとシンクロさせるシーンがあり、確かに監督の言わんとする類似性というか人間が本来備わっている動きの発露なんだろうとは思えた。ただ、アフリカの部族と本作に登場するダンサーたちではダンスが持つ文化的な文脈は全く違うだろうし、ちょっと恣意的すぎるんじゃないか、とは感じたけどね。あと、プリミティブな動きだけじゃなく、歴史の中で体系だてられたダンスの動き(バレエでも、ジャズでも、タップでも、タンゴでもなんでもいいんだけど)を取り入れたりしたらダンスってもっと面白くなるんじゃない?って老婆心ながら思った。ダンスバトルシーンを見てても、盛り上がってることは分かるけど皆似たような動きで単調だなーと思ったし。ヒップホップ的な重いビートに乗せてフラメンコとかミックスしてカマしたら相当クールなんじゃないか、とか思ったんだけどどうだろう。まぁ一部外者の思い付きだけだけど。