「着倒れ方丈記」を読む。

最高な書き手都築氏による、特定のブランドを愛しすぎるがあまり、生活が傾くほど服を買い集めてしまったファッション・ビクティムたちの姿を映した写真集。一人につき見開き2ページで紹介しており、左のページがインタビュー、右のページが服に埋もれたビクティムたちの部屋写真、という構成になっている。取り上げられるブランドは幅広く、グッチやシャネルやヴェルサーチなどの超高級老舗ブランドは勿論のこと、マルジェラやミュウミュウヨウジヤマモトやコムデギャルソンみたいなモード系デザイナーだったり、サイラスやナンバーナインやミスターハリウッド見たいなストリート上がりのハイブランドに加えてゴスロリやヤンキーブランドまでなんでもあり。流行通信という雑誌での98年位から2006年位の連載をまとめたものとのことで、家具や家電に時代を感じさせるものも多いが、薄汚れた和室の畳の上に超高級ブランド服が並んでいるような写真が特に壮観である。本書を読んでいて気持ちよいのは、登場してくる人たちがほとんど自分の着道楽に後ろめたさを感じることなく、有り余るコレクションを誇りに感じているということ。あと、著者の言葉で印象深かったのが、ワンシーズンで100万単位でお金を落とす彼らのような上客をブランド側が毛嫌いし、もともとお金持ちでステータスのあるエリート顧客を優遇するケースがあるということ。ブランドイメージを守るためらしいが、ファッション業界って気持ちわりーなーと思ってしまった。