ラテンアメリカ5人集」を読む。

オクタビオ・パスとかフエンテスとか読もうと思ってたので、とりあえず短編で読もうかと思って読んでみた一冊。正直、微妙だった。印象に残るのはバルガス・リョサの「子犬たち」という作品。怪我が元で男性自身を傷つけてしまった少年を中心に、少年たちが大人になるまでの過程を描いた短編で、ほとんどが矢継ぎ早の会話文で進行するんだけど、少年たちの合唱を聴いてるような独特の文体でつづられてるのが特徴。だけど、お話自体は別に盛り上がりもないし、そんな独自な「語り」を採用した必然性が感じられなくて、無駄な技巧のように感じてしまう。オクタビオ・パスの詩は最初頑張って取り組んでみたけど、「読みながら意味をくみ取れる」感じがなくて途中でギブアップ。これもいくつかの描写が多重的におり合わさって考えて作ってるんだろうな、というのは分かるんだけど、面白いとまでは思えなかった。パチェーコの話はメキシコ社会の悲喜こもごもを自然に盛り込んでる感じだけど、センチメンタルで凡庸というか。どれも「面白い」未満だったので残念。