FLA$HBACKS「FL$8KS」を聴く。

今週最も衝撃が走ったfebbの死。実はこの作品をレコードで先週買ったばかりだったのだが、自信たっぷりでふてぶてしくラップするfebbを聴いてちょっと泣きそうになる。彼らを初めて知ったのはこの動画から。KID FRESINO作のシンプルでどことなく寂しい余韻のあるトラック。今でもこの曲が大好きである。この深夜に悪友が集まって楽しんでる感。

当時まだ10代のfebb(堂々と喫煙してるけど)を観て、うわー生意気そうな奴だなーと思って最初はそんなにいい印象はなかった。ただ、英語の発音がいいのとスピットするようなラップがカッコ良かったので引っ掛かる存在となった。アンファン・テリブルと言われたFLA$HBACKSの3人はそれぞれベクトルは違うもののhiphopプレイヤーとして能力が高すぎて甲乙つけがたいのだけど、他の二人が持つややオーガニックで優しい面がほとんどない、ゴリッとしたNY hiphopの香りを濃厚に漂わせるfebbが一番気になっていたというのは否めない。ちなみに彼の音楽遍歴はこの動画が凄く参考になる。
もう何回も繰り返し観てるのだが、好きな音楽を語る時の笑顔が可愛い。

本作は2013年作で、曲はほとんどjjjによるもの。単純にお洒落なソウルやジャズばかりを使うんではなく、代表的な曲でもある「cowboy」みたいにギターを使うような、alchemistばりに面白いサンプル遣いでインスト物も含めてどれも無茶苦茶カッコ良い。ほとんど客演もなしで3人の濃厚な世界が楽しめる。レコード買ってから驚いたけど、歌詞カードも付いてる。彼らのラップは英語と日本語が複雑に入り組んでいて意味を取ろうとすると断片しか掴めなかったんだけど、これ見ながら聴くとまた曲の印象が変わった。これからもずっと聞き続けていくだろうマスターピース

間違いなくここ数年日本語を使うラップシーンでは、最も彼らの動向を注目していたし、自分としては珍しくUNITでライブも観に行ったりした。間近でfebbも観たので一言ファンだと告げてみたかったのだけど、女の子と話し込んでいたので酔っぱらったおっさんである自分としては声はかけられなかった。あの時話しかけていたら彼の笑顔を見れただろうか。もう2度とかなわない。