「スマートコントラクト本格入門―FinTechとブロックチェーンが作り出す近未来がわかる」を読む。

勉強になった。スマートコントラクトという人類の生活様式を一変させるほどのインパクトを持つ技術について、初心者にも分かりやすく解説する。内容は大きく2つに分かれており、前半は大まかなFinteckが活用されている分野と、実装されているサービスや試みを紹介しつつ核となるスマートコントラクトとは何ぞや?を解説し、さらなる活用に必要なマネタイズ手法(とりあえず、中間業者を取り除いちゃうからトークンを発行してキャピタルゲイン方式で儲けよう、とか)法整備(対マネロン的な現行の資金決済法との調整事項や、改竄不可能なデータベースに全ての行動履歴が残る社会で、プライバシーをどう守るか)について論じる。公開鍵暗号方式ハッシュ関数など、多少プログラミングに関する前提知識は必要だが、それも優しく説明してくれるので読みやすい。後半は実際にEthereumを使ってプログラミングレベルでスマートコントラクトの実装方法をチュートリアル形式で学ぶというもの。
2016年の本で、今読むと仮想通貨のレートに驚いたり、amazonレビュアーによるとコンパイル形式が大きく変わっていたりするなど、短いサイクルで急速に進化していることが分かる。何といっても著者陣の熱量がこもっていて、中央管理者のいないサービス(とシェアリングエコノミー、IoTとの親和性)という、未来を変えていく技術を知ってほしい、共に世界を変えていこう的な思いが文章からにじみ出ているのが良い。マイニングする上でのPoWの原理とかも「改竄を防ぐための仕組みなんだなー」とようやく腑に落ちる感じで理解できた。
後半のプログラミング実践も、実際に開発環境を構築するところからスタートし、簡単なプログラムとどういう動きをしているかを丁寧に解説しており、初心者にはとても優しい。開発に役立つであろうAPIの紹介もあり、便利。