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「タクシー運転手 約束は海を越えて」を観る。

町山智弘はじめとする方々の前評判通り、最高だった。韓国でも記録的なヒットをしたのも納得。見どころは緊張感あふれる市街銃撃戦だけど、全編通して笑って泣けて歴史も学べるという超エンターテイメント大作。俳優陣も豪華で、お調子者のソン・ガンホが最高にいい味を出している。映画「アルゴ」じゃないけど、こんなに映画的な実話があるなんて現実ってすごいなと思う。1980年に起きた光州事件を題材に、政府側の偏った報道でなく危険な現場に赴いて内情を世界に知らしめたドイツ人ジャーナリストと、高額な賃金を当てにして、彼を戦場と化した光州内に案内するノンポリ韓国人タクシー運転手との実際の友情を基に描いた物語。
物語の肝は、ちゃらんぽらんでノンポリだったタクシー運転手が、実情とかけ離れた報道をするマスコミに対して愕然とし、一度は逃げ帰った光州へ再び舞い戻る場面。ドラマチック過ぎる気もするが、観ていて最高にボルテージが上がった。数日前まで一緒の食卓をかこんでいた真面目な学生たちの死に際し、ジャーナリストに「真実を撮ってくれ」と懇願したり、身を挺してタクシーを盾に学生たちを銃撃から匿うシーンなど、冒頭からのギャップが映えて感動的だし、実際映画館で隣の女性はこの辺りで終始泣いていた。銃撃戦やカーチェイスのハラハラや極悪非道な軍人たちなど映画的魅力に溢れていて、終始ダレることなく最高だった。