あんま印象に残らなくて忘れる勢いだったが、「社会的共通資本」を読む。

社会的共通資本 (岩波新書)

社会的共通資本 (岩波新書)

著者の宇沢弘文ってサンタヒゲのおっちゃんはノーベル経済学賞候補のお偉いさんらしいが、あんま面白くなかった。色んなところに書き散らした文章を繋げたのが本書なんだけど、同じ言い回しが何回も出てきて読みにくいし。制度経済学派っていうの?ヴェブレンとかケインズの理論を信望してるんだと思うけど、経済学の持つ政治的な影響力に対して、フリードマンとか市場の規制撤廃しようとする人の理論の矛盾やらをあげて行っても自分の立ち位置の理論的な補強が甘い気がするんすけど…。
結局伝統的な社会のシステムは良かったみたいな時代錯誤な爺さんに道徳を説かれてるみたいな語り口なんだよなぁ。自動車社会がそれを使わない人に要する経済的な負担は不当だ、クルマなんて無い方がいいみたいなことも言ってるけど、さすがにそれは厳しいだろ…。クルマ無しじゃ生活できない人たち(使う方も作る方も)への言及がほとんどないからなぁ。
教育、金融、環境などについても公共の福祉として維持すべき制度があると主張していくけど、それほど芳しい知的発見はなかったな。