今日はミシェル・ゴンドリーの「恋愛睡眠のすすめ」を。

お約束の現実と虚構がごっちゃになったような映画で、「エターナル・サンシャイン」とかより物語としての完成度は低いかもしれないけど、なかなか楽しめた。画面がよく「おもちゃ箱をひっくり返したような」と形容されるようなガジェットで占められているので、ポップでキッチュな、「アメリ」とか「ヘイフラワーとキルトシュー」みたいなのが好きな女子(こういう女子にすごく偏見がある)と一緒に見るといい映画かも。
CGを使うというよりチェコのアニメ的な面白い映像なんだけど、とにかく見せ方がうまくて「めくるめく映像体験」が出来る。ぜんぜん似てないけど、ポニョを見たときのわくわく感に近いものがあった。映画を見てる間の2時間弱、色々な世界に振り回してくれるので、最近薄味な映画ばっか見てた俺には新鮮な楽しさだった。
ストーリーは途中からほんとにごっちゃになって整理しきれなくなっていくけど、ようはお互い意識し始めたのにすれ違ってしまってるっていう状況をメルヘンチックな夢にかぶせつつ描いたって感じだろうか。ただ、夢だと思って起こした行動のお陰でガエルは確信を得て(後で勘違いだと観客は分かるが)彼女にアタックするようになるくだりもあるし、夢を想像力の延長として捉えたほうが綺麗に理解できるかもしれない。想像していたことが現実に、っていうとニューエイジっぽく聞こえるけど。
主演のガエル・ガルシア・ベルナルは背が低くてすごくかわいらしい。「モーターサイクル・ダイアリーズ」とかよりこういうちょっと冴えなくて可愛い役の方がハマりやすいのかも(勿論彼自身の技量の問題もあるが)。シャルロット・ゲンズブールは美人って感じではないけどフランスっぽさが強烈で、あーこういう人パリに多そうって感じだ。ガエルが最初、ゾーイというほかの子に好意持ったのはすごく分かる。後ガエルの職場のアホな同僚たちが最高に面白かった。ギイっておっさんは特に下品で面白い。
今回分かった自分の趣味としては、みっちりいろんな要素がつまった映画の方が好みなのかも。淡白なロードムービーとかも好きだけど、物語としての構築の妙はこういう濃い目の作品の方がよく出るよなー。