かいじゅうたちのいるところ」を見る。

かいじゅうたちのいるところ

かいじゅうたちのいるところ

原作があるってのは見た後に知ったんだけど、読んでみたいなー。
ちょっと前から絵本読みたい欲が出てきてる。レオ・レオニとか読み返してみたい。

んで、今回観たのはスパイク・ジョーンズが撮った映画版なわけだけど、すごく良かった。前評判通り、本当に子供の夢をそのまま映像化したような作品だと思う。刹那的な楽しさとか、不安定さとか、怖さとか内包しながら主人公のマックス君がちょっと大人になっていく物語と言えるだろうな。

子供っぽい映画だなと思った点に、かいじゅうたちの関係性はすごく丁寧に描かれているのに、生活感がほとんど感じられないことがある。かいじゅうたちはどうやって衣食住を賄っているのか、法や宗教に支えられた共同体なのか、大人なのか子供なのか(またそのような概念があるのか)など、人間社会と比較する際に気になる文化がほとんど描かれない。それらはまだマックス君の世界の外部で決定されている出来事なので、想像されることがないんだと思う。
要は「かいじゅうたちのいるところ」はマックスの頭の中であると。

かいじゅうたちは、おそらく「みんなで幸せに暮らしたい」と願いは持っていて、とりわけキャロルは強く感じている。よりよく生活するためのの手段を考えてはいるんだけども、結果的に和を乱してしまっていて、その点はマックス君の置かれた環境と同じである。マックス君も何とか彼らをまとめ、ユートピア的な王国を作ろうとするものの、上手くいかずある意味「挫折」して元の世界に帰ることになる。オトナの階段を一歩登ってしまうワケだ。

映像のレベルで見てもとても楽しめる内容だった。かいじゅうたちの造形は何をモチーフにしているのか全く分からなくてそこが「子供っぽい」んだけど(子供が画用紙に描いた落書きをそのまま具現化したような)、表情がくるくる変わり動きも激しくて面白い。また、マックスの家があんまり高級感のある家じゃなく母子家庭の大変そうな雰囲気が伝わる寒色系の、生活感丸出しの絵作りなのに対してかいじゅうの暮らす世界は「この世のどこでもない場所」的な創造性あふれる空間(実際どこで撮影したんだろう)と、逆光のまぶしい暖色系の絵が続いていてとても良い。マックス君の着ぐるみ姿も可愛らしくて商品化にも向いてそうだ。
スパイク・ジョーンズはやっぱり目が離せない監督の一人だなーと今回改めて感じた。