フェルメールの食卓」を読む。

フェルメールの食卓 暮らしとレシピ

フェルメールの食卓 暮らしとレシピ

すごーく薄いので内容はあまりないんだが、フェルメールの作品と生涯を綺麗な写真とイラストで追いながら、同時に17世紀当時のオランダで作られていたレシピ本(その頃初めてレシピ本が識字率の高くなってきた市民にも読まれるようになったとか)を再現してみましょう、という本。
近所の図書館では絵画のコーナーに置いてあったが、料理のコーナーにおいてもいいかも。

個人的には、フェルメールは「真珠の耳飾りの少女」が有名だし、暗闇から立ち上がるあの静謐な画面が好きだったんだけど、ほかの作品を見てみると割と庶民的な絵書きさんだったんかなぁ、という印象。
もちろん、光に対する細やかな気遣いとか「絵中の絵」にもこだわる丁寧な仕事ぶりではあるんだけど、神経質で冷徹な感じがあまりないというか。
モデルにしてもお手伝いさんとか料理中の女性とかピアノ弾いてる子供とか、身近な人に興味があってそれを優しく画面に落としているような作品が多かった。
耳飾りの少女もよく見るとあどけない表情をしてるし、ずいぶん親しみやすい絵に見えてきた。身に付けたターバンはトルコのものらしく、フェルメールが異国情緒を出すために付けさせたんであって、当時のファッション的には一般的ではなかったらしい。

料理の紹介は全体として素朴なものが多く、現代の日本でも再現に困るような食材も少なくてちょっと試して見る分には楽しめるかも。チーズ大国らしくチーズにこだわるとより面白いのでは。

個人的に驚いたフレーズは「当時のオランダでは井戸水が一般的でなかったので、子供も大人も基本ビールを飲んでいた」っての。オランダ人、激しすぎ!

後、「食事は基本手づかみで食べていた」というもの。インドだったら割と右手以外使わず食事する習慣は知られていると思うが、プロテスタントのオランダでも「神から与えられた食べ物を道具を用いて食うなんてけしからん」みたいな考えがあったらしく、フェルメールもおそらく手づかみで食べていたとか。マジかよ。熱々のスープとかどうすんの?