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「スプライス」を観る。
- 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
- 発売日: 2011/04/20
- メディア: DVD
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サラ・ポーリーが出てる映画というのは「私が死ぬまでにしたい10のこと」を初めとして何か透明感があって好きだったので、本作もそんな雰囲気を期待してたらそれはまったく裏切られ、でも変な意味で面白かったという一本。SFアクションスリラーとでもくくれるだろうか?研究のため、人間と他の生物の遺伝子のキメラを開発し、育てていく内にキメラとの距離感や自分たちの関係性も狂っていくギークでナードなカップルの話。
何より素晴らしいのはキメラになったドレンというキャラクターの造形。
クリスカニンガムのCMを思い出した。演じた女優さんは美人だけど、それを少しいじるだけで恐ろしい顔になる。
人間のようで人間に見えない絶妙な顔の造形とおぞましさ。ドレンは成長するにつれて笑顔を見せたり人形を可愛がったりダンスを踊ったりと人間のような仕草を覚えるが、一方で猫を軽々と殺したりウサギのような脚でとび跳ねたりと他の生物の形質も残しており、越えられない種族の壁を感じさせる。
意思を持って作りだされた点が異なるけど、「寄生獣」と同じくドレン本人はたまたまドレンとして生まれ、生まれ落ちた環境に適応し子孫を残そうとしたにすぎないのに、理不尽で傲慢な人間によって再び無に帰される。しかし本作で面白いのは、人間の側に文字通り交配した結果として「種」を残したことにある。人間にとって異なるものとの共生を突き付けられているような象徴的なラストが印象的。