漆原友紀「水域」を読む。

水域(上) (アフタヌーンKC)

水域(上) (アフタヌーンKC)

面白かった。タイトルとおり、水を使った幻想的な表現が印象的。タルコフスキー映画みたいね。夏の田舎の一室で、寝しなに部屋を水が満たしていき、それを下から仰ぎ見ているような構図とか演出とか惚れ惚れする。作中で何度も主人公は意識を失い、違う世界へと没入していくのだが、その導入が上記のような水にちなんだ演出になっており(書いてて思ったけど、「テルマエロマエ」も全く同じだな。)、混濁する意識とか潜っていく感触がリアルで面白い。
お話自体は結構シリアスで、ダムに沈んだ故郷にまつわる親子三代に渡るドラマ。ちょうど映画一本観るような長さで完結するのでまとまりも良い。夏に読むと気持ちいいんじゃないかと思う。