「裸の天使」を観る。

すごく面白かった。そしてちょっと気を引き締めないとなぁと感じた。白人の金持ちドラ息子、ドラ娘たちが、日常に刺激を求めるべく繰り出したLAイーストサイドで生活するチカーノ系のストリートギャングたちと知り合い、交流し最終的に悲劇に繋がるという話。主演のアン・ハサウェイもいいけど、今や時の人のジョゼフ・ゴードン=レヴィットがホントにバカ丸出しで下手くそなラップ口調で四文字語を話したりするのが面白い。

クスリを決めてハイな状態で、ちょっと遊びに行こうぜって感じでチカーノたちが住むLAの危険な領域に入った時の景色の移り変わりがすごく印象的だ。いかにバカな彼らでも、ちょっと言葉を失うくらい景色が違っていて、部外者の俺でもわかる位異質なのだ。こういう景色ってどうやって撮ってんだかわからないけど、現地に行って撮ってるんだろうか?もちろんいくら治安が悪かろうと、そこにはギャングだけじゃなく学校に行く小さい子供も真面目に働く大人もいるんだろうけど、なかなか貧困の連鎖が断ち切り難く、楽に稼げるギャング家業に手を出してしまう人間が後を立たないのだろう。2ちゃんのまとめで「アメリカでストリートギャングやってたけど質問ある?」http://bipblog.com/archives/3786666.htmlってスレがリアルで面白いんだが、ギャングになる理由は経済的なものがほとんどというのが日本と違って面白い。もちろん日本もどんどん過疎化した地方とかはアメリカに近い貧困に根ざした不良集団も増えてしまっているんだろうけど、銃器が手に入れづらいし、本職のヤクザが一般市民にほとんど見えないところで仕事してくれてるから平和なんだろう。日本のカラーギャングなんてほとんどはファッション性に根ざしてる恥ずかしい集団だと思う。暴力は流行に合わせて身に纏うようなファッションではない。危険と隣り合わせの生活に憧れてみたら、大抵は本作のような痛いしっぺ返しを食うのだ。
それにしても、本作で最高にノータリンなのは、バカ女友達がレイプされた、仇討ちだと言って飛び出したバカ彼氏をきちんと説得せず、バカ女友達との仲直りを優先させたアン・ハサウェイだ。ギャングたちもそうだが、バカたちの思慮の浅い行動が関係者に誤解を産み、悲劇につながった。後味の良くないラストだが、LAに行きたいなーと思っていた自分にとってすごく勉強になる映画だった。そして本作を観て、よりアメリカという国に対する興味が強くなった。