寿司好きが高じてこんな映画を観てみた。最近はスーパーで買ったびんちょうまぐろ(って、実はマグロじゃないと初めて知った)でヅケ丼にしたり刺身で食べたりなんやかんや魚と格闘している。これまで出来なかったことができるようになるのは楽しいしね。
んで、この映画まず寿司が美味しそうに撮れているという時点で合格。次郎氏の手の動き、包丁ですっと素材を切り落とし、ワサビを人差し指ですくってそっとネタに塗りつけ、掴んだシャリと合わせて握るというひとつひとつの所作が綺麗でほれぼれする。次郎氏の仕事を評して「シンプルを極めるとピュアになる」とのことだが、この映画自体非常にシンプルで、余計な演出や過剰なドラマもなくドキュメンタリーのような淡白な味わいがあって良い。音楽をフィリップ・グラスがやってるんだが、このバイオリンのミニマルなループが耳に張り付くくらいいい仕事してる。映画の内容にすごく合ってる。
あと、そんな気になろうとして観たわけじゃないが、自分の仕事観についても考えさせられた。「好きなことを極めて、ずっと美味しい寿司を作る方法を考えてきた」という御年85歳(当時、今も89歳で現役とのこと)の矍鑠とした仕事姿を観てると、自分はまだまだだなぁと思わせる。俺だって自分の仕事に誇りは持っているけど、大好きとはとても言えないし、職場の人たちも尊敬できる人なんてかなり少ない。夢中になれることで飯が食える人はホントに幸せだろうけど、仕事って需要があるのに供給が少ないところに発生するというのも事実だし、そこと自分の相性が合う人なんてなかなかいないのが現実だと思う。ストレスが溜まる中でも、面白いと思える仕事を自ら掘り起こしていくという精神で、今後も自分の働き方を考えていきたいとは思ってる。宇野常寛のように、自分と会社との距離の取り方を考えて、やりたいことをしていきたいなぁ。