オンリー・ゴッド」を観る。

オンリー・ゴッド スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

オンリー・ゴッド スペシャル・コレクターズ・エディション [Blu-ray]

観てから大分経ってしまったが、この映画はすごい!これに似た映画が思いつかない。同監督ニコラス・ウィンディング・レフンの「ドライバー」は確かに通じる雰囲気はあるけど、この映画の異様さはちょっと類を見ない。映画は終始とても静かで、極彩色の売春宿やタイの風景をまるで宗教画のような厳かな画面で切り取りながら、静かで濃厚な時間が流れている。ストーリーは一応兄を殺された弟の復讐劇という体裁をとっているけども、リアリティなんてないし、貼り付けた空気が時ほぐれる瞬間もない。神として君臨する傍若無人の警察官チャンと、全ての道徳をあざ笑うような絶対悪としての主人公の母と、力を持ちながら母に刃向かえない抑圧されたオイディスプースのような主人公たちが織り成す罪と罰の物語。
ラストで主人公が取った選択は理解しがたい部分もあるが、「許し」を求めたか弱い人間の取った真っ当な選択肢にも見るところがすごい。そして何より美しい。