「漂流ネットカフェ」を読む。

漂流ネットカフェ 1 (アクションコミックス)

漂流ネットカフェ 1 (アクションコミックス)

全巻無料アプリにて読了。長さもちょうど良いし、かなりぐいぐい引き込む力がある面白い作品。だけど、読み終わってみると結構粗も目立つなぁという感想。
漂流教室のネットカフェ版、という紹介もできるけど、それよりも、レベルEの野球部失踪の話に近いかもしれない。

漂流教室より面白いところは、一応分別のある大人のみで構成されたメンバーであるということ。そして、ネットカフェということもあって若者が多いという点も特徴かな。自然と力の強い者、付き従うもの、性を売るものといった風に極限状態で人間らしさがむきだしになっていき面白いんだが、結末というか物語の設定がちょっと不可解なんだよなぁ。
結果的に、漂流していたというのは思い込みで、主人公の妄想世界にその時近くにいたネットカフェ住民が巻き込まれてしまうというのが真相なんだが、そうなるとなぜネットカフェだったのか?という説明が弱いんだよな。ネットカフェが何かヒロインとの思い出のある場所だったとかならわかるけど、とばっちりを受けた周囲の参加者はいい迷惑だよな。そして、結局現実世界ではヒロインに会っていなかったというのも微妙。
また、参加者は現実に帰還した後も漂流世界での記憶は融合しているらしく、キモオタと尻軽女子大生が付き合ってたり、パチスロで稼ぐ堕落男がほったらかしだった嫁さんと仲直りしていたりと何かほのぼのとしたハッピーエンドになってるけど、綺麗に片付けようとしてる感じがすごく不自然だった。そして主人公にしても、過去と決別して大人になったということらしいけど、自分の中の妄想のヒロインからの誘いを断ったことって独りよがりな解釈だよなとも思う。何しろ、作中で結局主人公はヒロインに一度も会っていないのだ。会わずに吹っ切ったというのならそれまでだけど。