「平成宗教20年史」を読む。

平成宗教20年史 (幻冬舎新書)

平成宗教20年史 (幻冬舎新書)

平成になってから、宗教がらみで事件や話題になったことを一年ごとに20年分コンパクトにまとめていく一冊。文庫でさらっと読む分には、あーそういえばこんなことあったなぁという程度の感想で楽しめるけど、宗教学者という肩書の著者の仕事としてはちょっと浅いんじゃなかろうか。著者の島田裕巳氏については知らんかったけど、ちょっと自分語りが多すぎて困惑。オウムとの個人的な交流とかについて語るならまだしも、入院経験とか全く関係ないことまで日記みたいに織り込んでるのはちょっと頂けない。内容についても本人に信仰がないのだろうと推測されるのはもちろん、宗教を通して社会の在り方を問う、みたいなことはほとんどなく、宗教がらみのニュースや事件をファイリングするのが好きな暇人が描いてみました程度で、大したことは書かれてない。仏教やキリスト教など、それぞれの宗教の特色や文化については知識としてある程度持っているのだろうけど、なぜ人がそれらを信仰し、文化や社会の基盤となっているのか、という視点が文章から全く見受けられない。むしろ、本書であげられる新宗教や宗教的な現象について懐疑的というか、宗教なんてなければいいのに、というようなスタンスで描かれてるのが宗教学者として戦慄した。うーん、残念な仕上がり。