「キング」を観る。

キング 罪の王 [DVD]

キング 罪の王 [DVD]

微妙だった。アメリカの南部のドロドロした話、というのとガエル・ガルシア・ベルナルポール・ダノという配役に惹かれて観てみたけど、淡々としていて盛り上がりにかける。海軍を除隊した男が、かつて売春婦だった母を捨てて牧師として成功を収めた父に対する復讐物語。
動機が曖昧で、主人公の行動に一貫性が感じられない。いつ復讐を決意したのかはっきりしないし、無意味なエピソードも多いので散漫な印象が残る。自分の弟を殺し、自分の妹を騙して犯して妊娠させ、自分を保護してくれた血のつながりのない養母を殺してさらに家に火をつけるとか、物凄い悪行を重ねる割りにあんまり感情に出さないので主人公に置いてきぼりにされる感じ。終わってから、あれ何の意味があったんだろうと思うエピソードも多い。主人公の刺青の意味は?海軍を辞めた理由は?何度となく出てくるアーチェリーの意味は?殺した弟の服をわざわざ脱がせてしばらく車に隠し持っていた理由は?父親と音楽の趣味の話をする意図は?色々な謎が残ったまま唐突に復讐を遂げて物語が終わってしまった。

それにしてもポール・ダノゼア・ウィル・ビー・ブラッドのエセ牧師の役がかぶるというか、こういうナイーブな信仰厚い(かつ、意外と傲慢な)青年役ハマるなぁと思う。実にうまい。