「大富豪破天荒伝説 Best100」を読む。

大富豪破天荒伝説 Best100

大富豪破天荒伝説 Best100

面白かった。感覚的には、吉田豪のインタビュー集を読んでる感じに近い。タイトル通り、古今東西一生使い切れないくらいの金を手にした人がどのように振る舞うかを1位から100位まで描いており、千差万別で興味深いし、割と世界史の勉強にもなるという優れもの。湯水のように金を使う人、有り余る資産に全く手を付けずにケチな生活をした人、一代で莫大な富を得た人、逆に一代で名家の富を使い尽くした人、慈善事業に尽くす人、私利私欲や愛人に尽くす人、家族に一切の財産を残さない人、引きこもりの生活を送る人、ホントにさまざま。中でも、名前が良く知られた人についてはトリビアにもなるのでちょっとメモ。

・自分を絨毯にくるませて、貢物としてカエサルに献上し、彼を心酔させたクレオパトラの知略。自分の財力を誇示するため、カエサルの前で真珠を一粒酸で溶かし、それをスープにして飲み干したとか(世界一高価なスープ!!)。

・石油王でありながら、孫が誘拐され、脅しとして孫の耳を切り取られて送り付けられても身代金を払わずに躊躇した猜疑心の塊ジャンポールゲッティ。でも、犬には優しかったり、自分のコレクションを飾る美術館を建立するためには金に全く躊躇しないという。

・学校に通えず、貧困の中から一代でのし上がり、成功してからはアメリカの各地に図書館を立てることに尽くした慈善家であり鉄鋼王でもあるカーネギー。幼くして現場で働いていた彼にとって、図書館は唯一の知へのアクセスであったとか。「図書館は私の大学だ」という言葉、素晴らしいなあ。

・全米一の金持ち石油王でありながら(現代のビル・ゲイツをはるかに凌ぐらしい)、敬虔なクリスチャンで、煙草やコーヒーなど嗜好品に一切手を出さず、一度だけ毛皮の高価な手袋を買ってしまったことを生涯悔やんだという極端すぎる吝嗇家・初代ロックフェラー。

・権力と金と有り余る性欲を欲しいまま満たし、孫から「王冠をかぶった娼婦だった」とい言わしめたエカテリーナ2世。数百人の愛人を抱え、十数人の子供は全員種違いらしい。

この辺だけでもお腹いっぱいだが、もっともっとたくさん面白エピソードあるのでかなり楽しめる良書。