ツインピークス ローラ・パーマー最後の7日間」を観る。

ツイン・ピークス ローラ・パーマー最期の7日間 [DVD]

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なんか最近ツインピークスの続編をデヴィッド・リンチが撮るのか撮らないのかというので盛り上がっていたみたいなので、本作はじめて観てみた。うーん、さすが、こってりリンチ節。「マルホランド・ドライブ」的な「インランド・エンパイア」的なカットアップミステリー。多分初見じゃ全然わからないと思う。本作は、実際にはドラマの前日譚的な位置づけで、ローラ・パーマーが「殺されてから」物語は始まっていたみたいだけど、本作だけでも十分一本のミステリーとして成立するくらいの物語的な遠心力を持ってる。
本作ではバッチリ、いわゆる「犯人」の姿が写ってるので直接の犯人捜しは労しない。それよりも、カリフォルニアの温暖な大地を舞台にしたツインピークスという田舎町で、足を踏み外したように突如としてあらわれるバッドトリップのような「あちら側の世界」の描写がすさまじい。
指輪とは?ローラの日記とは?赤い部屋とは?赤い部屋にいる小人の正体は?失踪したFBI捜査官の行方は?色々な謎が絡み合い、もつれ合い、それでも丁寧にひも解いていくときちんと筋道通るお話になっている。
観ていてずっと思ったことが、ちょっと前に読んだピンチョンの「競売ナンバー49の叫び」に似ているなーということ。筋道は全く似てないけど、全編通して繰り返される、古今東西箴言や聖書から引用した「意味ありげ」なキーワードや隠喩。多様で不気味な主人公を翻弄する登場人物たち。カリフォルニアの強い日差しを背にしながら、夢か現実か区別しにくいハッパやドラッグによる強烈な酩酊感。入り乱れた性交渉。色んなディテールが似ていて、観ているこっちがめまいを起こしそうになった。