「マネーウォーズ」を読む。

「ナニ金」の証券会社版、という感じで楽しめた。規模の大きくない証券会社に勤める入社2年目の主人公が、一癖も二癖もある客や仕手筋とのバトルを経て成長していく物語。序盤の方は特に用語解説が親切で(ケイ線の読み方とか、ストップ高の意味とか)、まさしく株に詳しくない人向けの入門書のような役割も果たしてくれる。基本は難題を抱える客単位で話は進むんだけど、国税局の監査担当とのバトルがあったり、総会屋とのバトルがあったりと株にまつわる色んなリアルな話が楽しめる。逆に終盤はぶっ飛んだ展開になって、一サラリーマンに過ぎない主人公が株の売買による運用益を争うバトルの代表に選ばれ、作中に出てきたライバルたちを打ち破っていき、お見合いして違う男と結婚することを選んだ元彼女を結婚式当日に奪い返しながら仕手戦にも勝利するというトンデモなラストになっている。それでも、バブルで好調だった当時の雰囲気は伝わるし、揉まれながらサラリーマンとして成長していく主人公の姿にはとても共感できる。自分はあそこまで仕事バカではないけれど。良作。