「オレたち花のバブル組」を読む。

オレたち花のバブル組 (文春文庫)

オレたち花のバブル組 (文春文庫)

どうせなら金融系の小説も読んでみよう、ということで今更ながら半沢直樹シリーズ読んでみた。面白い!読んでてサラリーマンとして身につまされる描写あり、勧善懲悪的に粉飾決済やら融資の横流しやらの悪いことをしていた人間たちを懲らしめるストーリーに胸をすくような想いを味わう人は多いのだろう。他部署から強引に引き継がれた融資先に対する金融庁監査に対峙する半沢直樹の話と、銀行から出向してきた先のワンマン社長といいなり部下の最悪の環境で帳簿の不正を暴き出し、再建しようと奮闘する近藤(過大なノルマで精神を病み、休職後も大切な家族のために生活しなきゃいけないプレッシャーに惜し潰れそうな心情描写が胸に響く、一番共感できるキャラ。「前向きだった20代、後ろ向きの30台、俯くだけの40台」とか悲しすぎる…)と異様なまでに社内政治に詳しい渡真利のバブル入社3人が連携しながらバンカーとしての矜持を胸に仕事に当たる姿を描いた作品。大ヒットしたドラマは未見なのだが、本作を読んでから改めて配役を観ると面白いなーと思う。片岡愛之助の黒崎役は金持ちっぽくて嫌味な感じが上手いなーと思うし、諸悪の根源的な大和田常務役が香川照之なのもはまり役っぽいなーと笑う。
あと、本書を読んでいて極めてガラパゴス的というか日本独自のせせこましい銀行事情とか笑えると同時にうすら寒い思いすら感じた。多分海外のサラリーマンからしたら、「同期」という単語にすらピンと来ないだろうし、主人公たちのようにここまで仲間意識を持てることが不思議に感じるんじゃないだろうか。あと、合併後も旧行の繋がりをよりどころとしたドロドロとした派閥争いやら社内政治やらなんかアホらしくて、かつ日本臭くて悲しくなった。お姉さん行員から「代手ちょうだい」とかホントに言われるんだろうか。