「ヤング・アダルト・USA」を読む。

ヤング・アダルトU.S.A. (ポップカルチャーが描く「アメリカの思春期」)

ヤング・アダルトU.S.A. (ポップカルチャーが描く「アメリカの思春期」)

最近は英語の勉強は元より、アメリカの文化に対する好奇心が高まっている。以前、「文科系のためのhiphop」を読んで関心があった長谷川町蔵氏の本ということで読んでみた。面白い。今まで自分が知らなかったアメリカの仕組みが色々と分かった気になって目から鱗だった。アメリカの文化を創立からヤング・アダルトと位置付けて、サリンジャーから現代のハリウッド映画、音楽、舞台、YA小説、リアリティショー、ドラマなど、アメリカ人が実際に消費している文化を通して様々なを元にしてアメリカを浮かび上がらせた作品。
現代アメリカ文化に詳しい長谷川町蔵氏と山崎まどか氏の対談集という体裁になっているが、実際はかなり加筆されているんじゃないかと思う。そのくらい、本書で語られるアーカイブの量は尋常じゃない(実際、索引の量はすさまじい)。本書で扱われる表現媒体は幅広いが、それぞれの作品に関わる関係者のクレジットを全て暗記しているような口ぶりで進んでいく。個人的には、最近アメリカのスクールカースト的な文化には興味があって、本書で参照されている映画にも、ジャド・アパトー作品だったり、フィル・ロード作品だったり、キャメロン・クロウ作品だったりと、いくつか見覚えのある作品はあったけど、ごく一部に過ぎない。気になった作品名や個人名を挙げていくときりがないので割愛するけど、その後の功績を鑑みるとジョン・ヒューズ監督の作品が重要であることは理解できた。また、アメリカというのは常に少年の姿をしていて、様々な大人の出来事を経験する時に「イノセンスが失われた」と表現するような若い国であるということも改めて学ぶことが出来たように思う。あと、NYのアッパーイーストに住むプレッピーだったり、アイビー・リーグがいかにエリートの大学なんだということも初めて知ることが出来た。全寮制とかも「ハングオーバー」とかの映画の描写を観て何となくわかっていた気はしたけど、全然理解不足だ。
まぁ、でもなんだかんだ言っても自分を引き付ける国は何と言ってもアメリカである。アメリカ文化に立てたアンテナは下がることはよっぽどのことがなければないと思うし、今後もMPDG(manic pixie dream girl)の女の子を気になってしまう性質は変えれないだろう。面白いと思うものを追い続けるのみだな。
あと、気になったのが、ジョノ・ディアスの「オスカー・ワオの短く凄まじい人生」について全く触れる機会がなかったこと。SF好きのモテない文系オタク(ドミニカ系)の小説で、俺の印象だと結構ヒットした印象あったんだけど何も言及なかったな。結構本書で取り上げてもいい素材だと思うんだけど。