キリスト教入門」を読む。

キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)

キリスト教入門 (岩波ジュニア新書)

NY旅行中に読んだ一冊。言うまでもなくアメリカはプロテスタントが大きく分類すると多数派の国だが、キリスト教に対する知識を強化したいと思った読んだ。例えば最近だと復活祭って何なのよ?みたいなこととかね。正直言って、期待していたよりかなり面白くてグイグイ読んでしまった。せまっ苦しいホステルの中で読んだ記憶が蘇る。キリスト教を成り立ちから発展・分化していく流れの歴史や、分化した際の重要人物と思想をとてもシンプルで読みやすい文章にまとめている。

特に、序章のキリスト教ユダヤ教から独立するまでの流れを、イエスの生前の活動と死後の使徒たちの活動にまとめたあたりが面白かった。ユダヤ教が戒律を守らないと救われないと説く閉鎖的な要素を、ナザレのイエスは「信仰のみで救われる」と説くこと(信仰義認論)で身分や国籍の違いを超えて宗教としての広がりを見せたとか、その後の福音書の記述の食い違いや、俗っぽい人間っぽいイエスの匂いを聖書からどのように消していくか、というような人間臭い涙ぐましい努力を解説されるととても面白い。宗教って人間が作るもんだなぁという当たり前の事実をつきつけられるというか。例えば、イエスが経済的に貧しいものに対して行った「幸い」の宣教は、後に経済的な貧困層以外のものを対象としても良いように、「心の」貧しいもの、みたいな言い換えをして道徳化していったらしい。そして、ユダヤ教では貧しくて戒律を守れないものや、病人=罪人の考え方で蔑んでいた人々に対し「徴税人や娼婦たちの方が、あなたたちより先に神の国に入るだろう」とラビたちに喝破したイエスが徐々に敵を作っていく過程とかも納得感すごい。んで、いざ死を間近にすると狼狽し、神に対して「死にたくねぇ、助けてくれ」と祈りを捧げる姿とか人間臭くて最高である。その姿を福音書に書かれちゃったこととかイエスはすごく恥ずかしいのではないか。有名な「エリ、エリ、レマ、サバクタニ」という最後の言葉も。確かに決して死を受け入れて死んでいった殉教者という感じはないし、だからこそ歴史的な信憑性が高いというのもうなずける(虚構としてねつ造する理由がないから)。
その後も、キリスト教が国教として認められ、東西に分かれ、東方正教会が生まれ、プロテスタントの運動が生まれ、現代の福音派などのファンダメンタリズムにまで大きく歴史を語りとおす内容となっており、とても面白い。
後、社会学を学んだものとしては、短いながらも「プロ倫」の解説が入っていたのも面白かった。

ちなみに旅行中にいったキリスト教ゆかりのスポット。

ブルックリンのウィリアムズバーグで撮ったモスク?なのかユダヤ教の教会なのか。ブルックリン橋をマンハッタンからブルックリンに渡る途中、ラビと思われる男性を多く観たし、ユダヤコミュニティーもあると聞いたし、多分そっちだと思うけど、よく確認せずに撮った一枚。

これは観光名所でもあるであろう、トリニティ大聖堂。タイムズスクエアとかMoMAを観光してた日で、この近くで詐欺にあったことを思い出す…。

ハーレムにあるゴスペルが聴ける教会。中には入らんかった。

聖パトリック大聖堂。早朝に行ったこともあるかもしれないけど、観光客もいなくて荘厳な雰囲気だった。