「毛皮のエロス」を観る。

エロかった。「ドッグヴィル」でもそうだったけど、ニコキは美しい。本作も40歳前くらいなのだが、一家が毛皮売りでお金持ちなんだが欲求不満の美女写真家が、多毛症の男性に焦がれる様を演じており、余裕で興奮できる作品になっている。60年代くらいにNYで活躍した写真家ダイアン・アーバスをモデルとした創作話。ロバートダウニーJrも毛むくじゃらなセクシー男を演じており、二人が出会ってからお互いの知らない世界を知り、じっくりと交流していく描き方が良かった。
エロさや映画としての面白さはいいんだけど、今まで「シャイニング」に出てくる不気味な双子の女の子の写真のソースみたいなイメージが強くて結構インパクトのある写真家だと思ってたんだけど、本作を観てダイアンアーバスの創作のまなざしってこんなチャチなものなの?とちょっと浅くも感じた。フリークスたちに惹かれていく彼女は障害やそれに基づく差別・偏見にまつわるいざこざを経ずにひとっとびに愛に向かってしまう
。結果として彼女は家族から疎んじられ、自分自身がフリークスになっていくわけだけど、その気負いというか覚悟があまり感じられないのが惜しかった。だって「見た目が変わった人を撮りたい」って浅はかな感じがすんだよなぁ。彼女が元々属していた高級ファッション誌(VOGUEとか)には表れない世界ではあるけど、「見た目がどうであろうと結局人間は人間であり、障害や奇形の有無って美という観念からは別の次元」という気がするのだ。