「23区格差」を読む。

23区格差 (中公新書ラクレ 542)

23区格差 (中公新書ラクレ 542)

ちょっと前に話題になってた一冊。そろそろ引っ越ししようかなと考えていて、新居探しのネタにもなるかなと思って読んでみた。ネタにもなるしさらっと読める良書。著者は都市計画に長年携わっていた人で、多少の主観はまじるけど国民調査やその他信頼のおけるデータを元に、東京23区を地理的にも年代的にも捉えた多面的な研究をしており、情報の質としても高い。そして、「23区の通信簿」と題した章では我が北区が堂々の最下位だったりする哀しさ。
冒頭で触れた「本当に住みたい場所」探しとしても本書はとても優秀で、例えば治安だったり災害に対する強さだったり医療の強さだったりと、色々なポイント別にそれぞれ強い区と弱い区を挙げている(さらに、過去の実績から今後の予想にも触れている)。ただ、ゆうても日本が東京一強なのはデータでも確かなので、単純に区民の平均年収が低かったり高齢化率が高くても日本の市町村の平均と比較するとかなり上位になったりするというのもわかったが。あと、自分の東京暮らしで得た経験でもある「JRの駅がないところは街として発展しにくい」というのは著者も似たようなことを語っており、やっぱそうなんだなぁと感じた。結構シンボル的な駅は必要なんよ。だから今度住むところはJRの駅がいいなぁと思っているのだ。という具合に、住むところ探しに有益な情報盛りだくさんなので、賃貸だけでなく家を買うことを検討している人にもとてもお勧めな一冊である。