服従」を読む。

読書芸人でも紹介されてたし、面白そうだと思って読んでみた。正直微妙。解説を佐藤優がやっているんだけど、この解説だけで十分という感じ。無駄なエピソードや描写が多すぎて、300ページ近くあるけど、100ページくらいにまとめられる気がする。5年後位の超近未来のフランスが舞台で、極右政党とイスラム政党が躍進した結果、フランスがイスラム化していく中で40代でユイスマンスを研究する大学教授の主人公が最終的にムスリムとして神に(というか権力に)「服従」するまでの話。
序盤の方とか読んでるうちは、村上春樹の小説に出てきそうなやけに諦念的でそのくせ女の出入りは激しい嫌味なインテリがうじうじ自分の教え子との関係に悩んだり、ノンポリで社会に対する責任感も知的探求心もないまま(自分の過去の論文の内容すら忘れてるという体たらく)流されるように生きている様を延々と続いて、「嫌な奴だなー」と思って早々に読む気が失せたけど、なんとか読んでみた。終盤が一番ドラマチックで、そんなことを言うためにこんなダラダラしたエピソード積み上げてきたわけ?それともこのダラダラこそが布石だと言いたいんか?と思ってしまった。主人公は徹頭徹尾だらしなくて、徐々に生活様式イスラム化していく周囲の環境に対して全て受動的で、変人で有名だった爺さん教授が、教え子の10台の女の子と結婚したことをきっかけに、「俺も若い子と結ばれたい!」と思ってムスリムに改宗する。この吐き気のするような愚図の話がベストセラーってことは、今のヨーロッパ全体にリアリティを持って読まれてるんだろうね(この辺は佐藤優の解説が詳しい)。けど、小説としてはもっとコンパクトにまとめた方がいいと思うが。