「大渦巻への落下・灯台: ポー短編集III SF&ファンタジー編」を読む。

ポーは学生時代位から結構気になっていた作家で、「ユリイカ」とかも読んでみようかなーと思ってたんだけど何となく今まで手に取ることがなかった。んだけどSF&ファンタジー編と銘打った本作はより興味深かったんで読んでみた。面白かった。ちょっとボルヘスの「伝奇集」やベイリーの「ゴッド・ガン」に近い、ワンアイデアワンSF小説という感じ。
「大渦巻への落下」はディザスタームービーを観ているような臨場感で楽しめた。「使い切った男」や「メロンタ・タウタ」は、今読むとそこまで斬新な感じはないけど、1800年代前半に出されたと考えるとめちゃ斬新だろう。現代に繋がるサイボーグや西暦2800年代の視点からの現代社会の批評や月世界の描写など、心躍る。一番面白かったのは「タール博士とフェザー教授の療法」だろうか。「ドグラ・マグラ」の短編版という感じで、妖しい世界観やどんでん返しが気持ちよい。「メルツェルのチェス・プレイヤー」はチェスを打つ自動人形のカラクリ推理論文という体なのだが、現代ではどうしてもAIを彷彿とさせる内容で面白い。ポーが面白そう説、間違ってなかった。