「プロ直伝! 職業作曲家への道 曲作りを仕事にするための常識と戦術、そして心得」を読む。

ポップス、劇判、ゲーム、アニメといった様々なジャンルにおいて、作曲、アレンジ、作詞など色んな立場で音楽制作に関わる現役プロの証言を集めた本。デモ音源の診断とかもやってくれるらしい。面白かった。
かなり具体的に、「CD製作は90日進行」とか「アニソンは89秒で作成する」とか「コンペシートの読み方」とか「仮歌にも歌詞をつけておく」みたいな業界志望者には役立つであろうメッセージに溢れている。ただ、インタビュイーが40、50代の人が多く、今となっては形骸化が進んでいると思われる大きなレコード会社での制作スタイルを基本として捉えている書き方になっており、「評判はすぐ業界に伝播するから常に礼儀正しく」「製作はチームワークなので和を大切に」みたいなアドバイスも終始説かれており、日本の音楽業界の「村社会」感も感じられてちょっと古臭くて閉鎖的だなぁとは思うこともあるが。あと、少ないながら業界用語説明とか読書案内(製作向けのものや著作権を学ぶものなど)もされており細かい心遣いも素晴らしい。
一番響いた言葉がこれ。「時折、「音楽が好きなら、仕事にしない方が良い」と言う人がいます。一つの考え方として同意します。好きなだけでは続かないのも事実です。ただ、素の考え方は本当に好きな女性(男性)ができたときに、「結婚しないで恋人のままが良い」と言うのと似ているなと思います。プロにならない方が、もしかしたら純粋に音楽と付き合えるかもしれません。でも、仕事にした方が音楽と、より深くかかわることになるのです。そう、結婚した方が密接になるように。」勿論仕事にするといっても音楽のみで生きるというだけでなく、現在では色々副業しながら音楽を発表したりマネタイズする方法もあると思うけど、この比較は面白いなぁと思った。