「mud」を観る。

正直つまらん。信頼する音楽ライター小林雅明氏が紹介してたのと、現代のスタンドバイミーとか言われてたのと、大好きなアメリカ田舎話っぽかったので観てみたけど、雰囲気や音楽位しか楽しめない。ミシシッピアーカンソーを舞台に、14歳の少年二人がひょんなことから警察に追われる謎の男と出会い、それぞれに複雑な家庭環境の問題を描きながら彼の逃亡と助けるというお話。主演はマシューマコノヒー。登場人物が皆南部出身で、聞き分けらんないけどゴリゴリの南部訛りで話してるらしい。
情報が断片的で曖昧。名作「コップ・カー」のようにあえて情報を断片的にしてシンプルかつリアリティある話に演出する、っていう手法もあると思うけど、本作では不自然さやモヤモヤ感に繋がってしまいマイナスに。まず、劇中では固定電話の身で携帯が出てこないんだけど、いつ頃の話なのか判明しづらい。主人公の男の子がFUGAZIのTシャツ着てるから90年代位?マシューにしても蛇の毒に対する的確な対処法を知っていたり、銃の扱いや戦闘力が異様に高いけど過去に何をやってたのか一切明らかにされないし、そもそも結局何がしたかったのか良くわからんし、待ちわびてた恋人も唯のビッチなのか一途な恋人なのかよく分からん。主人公の少年たち二人の成長物語っぽく無理やり見せてるけど、特に何か成し遂げることもないし、途中までサスペンス風味だったのに終盤になって急にガンアクションが始まったり映画の構成としても難あり。
ただ、雰囲気は凄く良い。川のほとりに建てられたボートハウスとしなびた漁師として生きる不器用な少年たちの家族像とか、ピックアップトラックに揺られながら広がる広大な一本道とか、劇中を通して奏でられるカントリー的な曲で変な郷愁を誘う。設定自体は悪くないと思うので、もっと見せ方とか構成を変えれば面白くなると思うんだけどな。