「世界のサッカー名将のイラスト戦術ガイド」を読む。

今年のW杯を契機に、サッカーの戦術性の高さと面白さに一気に魅せられ、本作を読んでみた。正直、本作に載っている名将たちの功績をピッチ上で観たことないんだけど、千差万別ぶりが面白かった。事前に知っていたのは、トータルホットボール創始者のクライフとか、全日本代表監督のハリルホリッジとかくらい。でも、世界のフットボールチームの序列が漠然とでもわかったのは面白かった。ある意味、千葉雅也の「勉強の哲学」が効いているというか、新しい価値体系に触れて「バカ」になりつつあり、それがとても気持ち良い。
フットボールは個人の技術ありきなのは勿論だけど、戦術によって勝敗が全く変化するという単純な事実が面白かった。同じ著者によるサッカー右翼と左翼みたいな戦術議論にも通じるし、監督のキャラや所属クラブの戦略、選手という駒によって全く取るべき監督としての仕事が変わるのはホントに楽しいなと思った。本作では、監督の思考系統樹があったり(師弟・影響・敵対関係が分かりやすい)、「タイプ」を「激情型、温厚型、冷静型、理論型」と大きく4タイプに分けて、彼ら自身のフットボール論と性格を分析してみたりしている。流行り廃りもあるし、たくさんの変数の中から功績を挙げようと奮闘する監督の努力はかなり学ぶところがあった。