「ブラッドハーレーの馬車」を読む。

また読みたいマンガが一定量たまってきたのでツタヤディスカスで大量に借りる。去年「おやすみプンプン」を読んで色々とレビューを見て回っていた時に「胸糞悪いマンガ」のくくりで本作も入っており、気になっていて読んでみた。確かに胸糞悪いんだが、短編集としてとてもまとまりが良く、面白いなぁと感心した。ブラッドハーレー家の養女になった孤児の夢見る少女たちが突き落とされる絶望を、少女と取り巻く様々な人間の立場から描いていく。20世紀初頭のヨーロッパで実際にありそうなお話なんだが、完全な創作らしい。単にエログロなだけでなく、理にかなった法律や政治体制の描写を通して社会を描いていており、ファンタジーとしても秀逸な作品。結末も特に救いのある内容ではないが静かな余韻を残し、一本の良作フランス映画を見たような錯覚に陥る。絵はいつもの沙村広明
っぽいラフな感じなんだけど、もうちょっと登場人物の顔を描き分けた方がリアルなんじゃないかなぁと思った。