「ルポ川崎」を読む。

読む前からある程度内容は知っていたし、著者のトークイベントにも参加していたりしたけれど、改めて読んでみた。著者は学者ではないので、本書は聞き取り調査による証言を基に構成されており、あまり客観的なデータや白書による引用が少なく、人によってはちょっと川崎の一部を一般化しすぎ!と批判的になるかもしれない。けど、別にいいんじゃないかと思う。少なくとも本書に描かれているような生活があるということは事実なわけだし、ドキュメンタリー映画を観ているようで楽しかった。その楽しみは著者自身が告白しているのと同様にスラムツーリズム的な好奇心があるのも事実だが、それ自体も悪いとも思っていない。個人的にも高校生ラップ選手権でT-pablowを知ってそのスキルに驚いたのが原点だし、その後のBAD HOPの活躍も外から眺めていて自然と彼らのライフスタイルに興味をもっただけという気がする。誰かが誰かを知るなんてそんなことなんじゃなかろうか。